減価償却資産を取得するために支出した金額は、単純に支出した年の費用とするのではなく、その減価償却資産が有効に業務用に供される期間の費用として配分することとしています。この費用配分のことを減価償却といいます。

減価償却を利用して節税する方法

減価償却とは何か

減価償却資産が業務用費用として配分することを減価償却という

建物をはじめとして機械や器具などは、使用しているうちに経済的にも物理的にも価値が減少していきますが、このような性質の資産を減価償却資産といいます。

こうした減価償却資産は、価値が減少している一方で、収入をも生み出しています。そのため、減価償却資産を取得するための支出は、その時点での一時的な費用というよりも、将来の収入を生み出すために前払いした費用であると考えられます。

税法は、減価償却資産のこうした性質に着目して、減価償却資産を取得するために支出した金額は、単純に支出した年の費用とするのではなく、その減価償却資産が有効に業務用に供される期間の費用として配分することとしています。この費用配分のことを減価償却といいます。

不動産関係で減価償却資産とされるものは、建物のほかに建物附属設備(冷暖房設備、照明設備、換気設備、エレベーターなど)や構築物(門、塀、擁壁など)などがあります。

減価償却資産とされるもの

  • 建物
  • 建物附属設備(冷暖房設備、照明設備、換気設備、エレベーターなど)
  • 構築物(門、塀、擁壁など)

減価償却資産が業務用に使用される期間を耐用年数という

これらの減価償却資産が有効に業務の用に供されるであろうとされる期間を耐用年数といい、各減価償却資産を取得するために支出した金額を定められた耐用年数の中で減価償却費として費用計上していきます。

不動産投資では減価償却を上手に利用することも重要なポイント

減価償却費は実際の支出とは無関係に必要経費とすることができるために、不動産所得の金額も実際の資金繰りとは無関係に計算されます。

実際には手元にお金が残っているにもかかわらず、不動産所得を計算したらマイナスになって税金が還付された、といった現象が起こり得るわけです。不動産投資では、減価償却を上手に利用することも重要なポイントになってきます。

どんな償却方法があるか

どんな償却方法があるか

償却方法は届出により選定することができる

建物やその附属設備、構築物といった減価償却資産の一般的な償却方法には、定額法と定率法がありますが、どちらの償却方法を採用するかは、届出により選定することができます。
新たに不動産投資を行った場合は、その年分の確定申告書の提出期限までに、所轄の税務署長に償却方法の選定の届出をします。

もし、選定の届出をしなかった場合は、個人は定額法、法人は定率法が適用されます。また、すでに不動産投資を行っている場合で、償却の方法を変更するには、変更しようとする年の3月31日までに償却方法の変更の申請書を所轄の税務署長に提出し、承認を受けなければなりません

定額法による減価償却費の計算方法

定額法による減価償却費は、次の算式で計算します。

{(取得価額)-(残存価額)}×(定額法による償却率)

この場合の取得価額とは、建物などの購入代金と考えておけばいいでしょう(土地は減価償却資産ではないので、土地代金は除かれます)。残存価額は取得価額の10%相当額と定められています。

定率法による減価償却費の計算方法

定率法による減価償却費は、次の算式で計算します。

(前年末の未償却残高)×(定率法による償却率)

この場合の未償却残高とは、建物などの購入代金から前年末までの償却累計額を差し引いた額になります。

償却率は、定額法または定率法に応じて、各減価償却資産の耐用年数ごとに定められています。耐用年数の中で減価償却費を経費計上していくわけですから、耐用年数の長いものほど償却率は少なくなります。

定額法と定率法のどちらが有利か

減価償却費は、実際に支出をしなくても税法で必要経費とすることが認められているものですから、税法上の所得を圧縮し、結果的に税金を少なくする効果を持っています。まず、2つの償却方法の特徴について考えてみましよう。

定額法と定率法のどちらが有利か

定額法は各年の収益がほぼ一定しておりそれほど修繕費がかからない資産に適している

定額法の考え方は、文字どおり毎年の減価償却費を一定額とし、年ごとに費用を均等配分しようというものです。これに対して、定率法の考え方は、当初の減価償却費を多くし、年が経つごとに一定の割合で減少させていこうというものです。こうしてみると、定額法は、各年の収益がほぼ一定しており、それほど修繕費がかからない資産に適している方法といえます。

定額法が適しているもの

  • 定率法各年の収益がほぼ一定しており、それほど修繕費がかからない資産に適している

定率法は定年退職を控えているような場合や今後のベースアップがそれほど期待できないような場合に適している

定率法は、古くなると急激に収益性や経済的価値が低下したり、次第に修繕費が大きくなるような資産に適している方法といえます。建物はちょうど中間的な性質の資産ですから、投資家の今後の所得予測も考慮して選定すべきです。

定率法が適しているもの

  • 古くなると急激に収益性や経済的価値が低下したり、次第に修繕費が大きくなるような資産に適している

減価償却による節税効果は、所得が多いときほど効果的なわけですから、もうじき定年退職を控えているような場合や今後のベースアップがそれほど期待できないような場合には定率法を選定し、所得の多い時期に多額の減価償却費を計上するのが望ましいでしょう。

逆に、今は所得が少ないが、将来はかなり所得が増えていくと予想される場合には定額法を選定し、当初の減価償却費を押さえておくのが望ましいでしょう。もし現実に所得が増えたら、定率法に変更することも可能です。

状況によって使い分ける

  • 定率法 → 定年退職を控えているような場合や今後のベースアップがそれほど期待できない場合
  • 定額法 → 今は所得が少ないが、将来はかなり所得が増えていくと予想される場合